「プリズムバラスト」と「ダブルスラブオフ」はどう違うのでしょう?

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乱視用のコンタクトレンズには大きくわけて2つのデザインがあります。「プリズムバラスト」と「ダブルスラブオフ」の2つです。どちらも、レンズが目の中で回転するのを抑える働きをするのですが、その違いはなんなのでしょうか?

安定するなら「ダブルスラブオフ」のほうがオススメ。

プリズムバラストとダブルスラブオフ。どっちのほうがオススメなのかというと「ダブルスラブオフ」のほうがオススメです。

ダブルスラブオフという名前。どういう意味だかわかりますか?分解すると、「ダブル」と「スラブ」と「オフ」の3つの単語からなりたっています。

この中で、分かりにくいのが「スラブ」ではないでしょうか。スラブというのは簡単に言えば、「板状のもの」というところからきています。建築用語では床のことを指したりもするようです。たしかに、床って一枚の分厚いコンクリートみたいなところがありますもんね。登山用語では1枚岩という意味もあるようですね。

じゃあ、コンタクトレンズの場合はどういう意味かというと、当然、レンズそのもののこと指すのだと思います。1枚のペラペラしたレンズですもんね。

次に「オフ」です。スラブをオフするわけなんですが、これはどういう意味かというと、スラブを薄くするという意味なんですね。そして、「ダブル」。2倍とかいう意味でも使われますが、この場合は、2箇所という意味です。つまりはダブルスラブオフというのは、レンズの2箇所の部分の厚みを薄くしたデザインということなんですね。

2箇所というのはレンズの上と下の2箇所です。そうすることで、まばたきをしたときに、レンズが自然に同じ角度に保たれるようになるんですね。まばたきって上下に動くので、当然のことながらレンズの薄い部分が上下にくるようになります。

ただし、先に言ってしまいますが、レンズの回転を抑える働きはプリズムバラストのほうが高いんです。でも、ダブルスラブオフでもレンズが安定する人であれば、ダブルスラブオフのほうがオススメです。

レンズを薄くつくることができるので、酸素を通しやすいというメリットが。

なぜかというと、ダブルスラブオフのほうがレンズを薄くつくることができるからです。スラブオフするデザインですからね。当然のことながらレンズは薄くなります。

レンズが薄くなるとなにがいいのかというと、酸素を多く通すことができるようになるんです。コンタクトレンズって目の表面を覆うように装着します。でも、私達の目の角膜って、空気中から直接酸素を取り入れている組織なので、コンタクトレンズで覆われると、息苦しくなってしまいます。なので、コンタクトレンズは酸素の通しやすさがとても重要視されるわけです。

そういう観点からいくと、レンズが厚くなりがちなプリズムバラストよりもダブルスラブオフのほうがメリットがあるわけです。

プリズムバラストに比べて、ドライアイになりにくいというメリットも。

そして、もうひとつ。ダブルスラブオフだとプリズムバラストに比べてドライアイになりにくいというメリットがあります。

実は、プリズムバラストってその構造上、ドライアイになりやすいというデメリットがあります。目の下の部分が乾きやすくなってしまうんですね。その点、ダブルスラブオフの場合は、普通のコンタクトレンズの上下の部分を薄くスライスしてあるようなデザインです。ダブルスラブオフであることが原因でドライアイになりやすくなるということはあまりありません。

普通のコンタクトレンズでもドライアイになりやすいという人は、やっぱり目は乾きやすいかもしれませんが。。

安定性を求めるなら「プリズムバラスト」になります。

そんなわけで、ダブルスラブオフをオススメしてきましたが、乱視用コンタクトレンズの最大の目的は、乱視を矯正することです。その、乱視の安定した矯正力をもとめるのであれば、やっぱり「プリズムバラスト」がオススメです。

というか、乱視用コンタクトレンズの多くはプリズムバラストデザインです。ダブルスラブオフデザインは少数派なんですね。

ちなみに、「プリズムバラスト」ってどういう意味なんでしょうか。プリズムとバラストの2つに分けられそうですね。プリズムというのは光を屈折させたり拡散させるための透明な多面体とうい意味で使われたりしますが、ここではコンタクトレンズそのものを指していいのではないかと思います。

それではバラストはどうでしょう。あまり聞きなれない言葉ですよね。バラストというのは船舶の世界でよく使われる言葉のようで、船を安定させるための積荷、重りのことを言うようです。たしかに、船があんまり軽いと簡単にひっくり返ってしまいそうですもんね。それをコンタクトレンズのデザインに活かしたのがプリズムバラストです。

レンズの下の部分を厚くして、重くなるようにしているんです。そうすると、まばたきをするたびに、レンズの重い部分が下にくるようになります。そうして、レンズが目の中で回転するのを抑えているんですね。

レンズの構造上、目の下の部分がドライアイになりやすいというデメリットも。

さきほど、プリズムバラストはドライアイになりやすいということを言いましたが、その理由ってなんなんでしょうか?

当然のことながらレンズの下の部分が厚くなっているというレンズデザインが関係してきます。レンズが厚くなっているということは、まばたきをしたときに、その部分が他の部分よりも、眼球に圧迫されることになります。すると、レンズと眼球の間の涙の層も、その圧力で外に逃げていってしまうんですね。

ソフトコンタクトレンズはハードコンタクトレンズほどではないですが、まばたきをするたびに、レンズが多少上下に動きます。そうして、涙の層が薄くなった目の下の部分が空気に露出するようになって、ドライアイになりやすくなってしまうんですね。

参考資料

・日本コンタクトレンズ学会誌2009(4)

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