なぜ、シリコーンハイドロゲルレンズには脂汚れがつきやすいのか?

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シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズには、従来のハイドロゲル素材のコンタクトレンズに比べて、油(脂)汚れがつきやすいと言われています。特に、化粧品やクレンジングオイルなどの油汚れがつきやすいようです。

それって一体なぜなんでしょうか?

シリコーンは「親油性」の素材です。

結論から言うと、シリコーンというのは「親油性」の素材だからです。

親油性というのは油とよく馴染む性質ってことですね。シリコーンオイルって聞いたことありませんか?普通のオイルは、「炭素」が含まれていますが、シリコーンオイルの場合は、「炭素」の代わりに「ケイ素」が使われています。でも、オイルとしてよく似た働きをします。

「炭素」と「ケイ素」ってよく似ているんです。ダイヤモンドは「炭素」から作られますが、水晶は「ケイ素」から作られます。どちらも透明性のある、きれいな鉱物ですよね。

コンタクトレンズに使われているシリコーンもそんな「ケイ素」からできています。なので、シリコーンという素材は「親油性」をもっているんですね。

シリコーンハイドロゲルは「水」と「油」を混ぜたようなもの!?

ちなみに、シリコーンハイドロゲルという素材は、それまで主流だった普通のハイドロゲル素材とまったく違うものだと思っている人はいませんか?実はちょっと違うんです。シリコーンハイドロゲルというのは、「シリコーン」と「ハイドロゲル」を混ぜ合わせて作っている素材なんですね。シリコーン100%というわけではないんです。

ちなみに、シリコーンは「親油性」だと言いましたが、ハイドロゲルは反対に「親水性」です。水とよく馴染む性質をもっているということです。なので、実はシリコーンハイドロゲルというのは「水」と「油」を混ぜ合わせたような素材になっています。

一般的に、水と油は混じり合わないですよね。混じり合わせるには乳化させる必要があったりしますが、乳化させると「透明度」が落ちたりします。コンタクトレンズとして使うには「透明度」は保たなければいけません。

そんな問題もあって、実はシリコーンハイドロゲルという素材の開発にはかなりの苦労がともなったようです。ここでは詳しい話は割愛しますが。

レンズの表面は「親水性」と「親油性」の部分が混在している。

シリコーンハイドロゲルは「シリコーン」と「ハイドロゲル」を混ぜ合わせたものだということは、シリコーンハイドロゲル素材のレンズの表面というのは「親油性」のあるシリコーンの部分と、「親水性」のあるハイドロゲルの部分が混在している状態なんですね。

でも、親油性のあるシリコーンの部分がレンズの表面にでていると、目に違和感を感じやすくなってしまいます。

そんなわけで、メーカー各社、独自の工夫をしています。具体的には、レンズの表面だけに、なんらかの加工をほどこすということをしていたりします。例えば、プラズマコーティングをしてみたり、親水性のあるポリマーで包んでみたりとかですね。でも、完全にシリコーンの部分の露出を防ぐのは難しいようです。

「親油性」の部分に脂汚れがつきやすくなります。

そうして、露出を防ぐことができなかったシリコーンの部分に、脂汚れがつきやすくなってしまうんですね。なんといってもシリコーンは「親油性」です。脂汚れを吸い込むスポンジのような働きをしてしまいます。

ちなみに、シリコーンハイドロゲル素材とひとくちにいっても、レンズの表面にほどこしている加工のタイプによって、脂汚れのつきやすさは変わってきたりするようです。レンズの表面にプラズマコーティングをほどこしているアルコンのシリコーンハイドロゲルレンズは、比較的、脂汚れがつきにくいようです。エアオプティクスアクアやエアオプティクスEXアクア、デイリーズトータル1などですね。

もし、これら以外のシリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズを使っていて、脂汚れが気になっているという人がいたら、試してみてもいいかもしれません。

「レンズファースト」でレンズの脂汚れを予防する。

そんなわけで、なぜ、シリコーンハイドロゲルレンズには脂汚れがつきやすいのかについてを解説してみました。

シリコーンハイドロゲル素材は親油性のシリコーンを使っているだけに、どうしても脂汚れはつきやすくなってしまいます。でも、そもそも、レンズに脂汚れを近づけないようにするという努力はすることができます。

シリコーンハイドロゲルレンズについてしまいやすい脂汚れには化粧品やクレンジングなどありますが、化粧品の汚れをレンズにつけないための方法として「レンズファースト」というものがあります。化粧とクレンジングをする「前」に、最初にコンタクトレンズを装着したり外したりしてしまうということですね。

アイメイクをした後に、コンタクトレンズを装着するよりも、レンズに脂汚れがついてしまう確率を下げることができます。そして、クレンジングする「前」にレンズを外すのと、クレンジングをした「後」にレンズを外すのでは、明らかにレンズの汚れ具合が違うということも実験データとしてでています。

もし、アイメイクやクレンジングの後にコンタクトレンズを装着しているという人がいたら、ぜひ、「レンズファースト」してみてください。

あと、意外に見落とされがちなのですが、「ハンドクリーム」が脂汚れの原因ということもあります。夜寝る前にハンドクリームをしているという人は気をつけましょう。

参考図書

・日本コンタクトレンズ学会誌2013(3) S14-S25
・日本コンタクトレンズ学会誌2012(2) P112

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